Sylvie

Nerval: Sylvie/Aurelia (Balises) [French]

Nerval: Sylvie/Aurelia (Balises) [French]

だんだんフランス語で読むのも慣れてきて、いま読んでいるのはNervalのSylvie。まだ何度も読み返しながら理解するので、このくらいの厚さがちょうどいい。フロベールのボヴァリーも挑戦してみたんだけど、まだ読書の快楽が得られるほどのスピードでは読めないので、将来の楽しみに。

数ページ読んで、あるアメリ現代文学の下敷きになっている作品だということに気づく。いつもながら微笑ましいロマン派ぶりで、出てくる二人の少女が実に魅力的(フェミニスト的には「最悪」という意味)で、たまに美しい田園風景の描写とメタファーが交じり合って、相乗効果をあげている。内面としての風景。主人公による、異なるものの同一視が大きく世界像に反映されている。時間の表象がかなり立体的で、プルーストに影響を与えたらしい。

L'Amant

L'Amant

Duras。彼女の短いセンテンスの効果はヘミングウェイと双璧をなす。しばしばヌーヴォーロマンに間違ってカテゴライズされてしまうけど、もちろん全然違うので、彼女の魅力は短い語句で文章の流れを切断して行くやり方にある。つまり、ジャンルは違うけどゴダールに似ている所もある。フランス語初学者としては、実にありがたいセンテンスの短さだけど、過度のシンプルさがもたらす難解さや曖昧さというのはもちろんある。個人的に思い入れの深い作家で10代のころから、河出のピンク色の背表紙の文庫を集めていた。作家を知ったきっかけは中学生の時に大ヒットした映画の『ラマン』で、確か、15歳以下は入れなかったんだけど、そのころは別にチェックが厳しくなく普通に映画館に入れた。映画は別にどうということもない、感傷的な物語にすぎないんだけど、原作も本屋でよく売れていて買った。それが付き合いの始まり。高校一年の時に、なぜだったか全然覚えていないけど、当時少しのあいだ付き合っていた彼女の部屋に一人で一日ずっといたことがあって(夏休みだった。それにしても彼女はどこに行っていたんだ?)、そのとき一日で何冊も読了した。中上健次の『破壊せよ、とアイラーは言った』は、『破壊しに、と彼女は言う』の影響と考えていいんだろうか、出版年を知らないし、前者の内容はほとんど覚えていないんだけど。清水徹の翻訳文体は素晴らしいと思う。

彼女は1996年に亡くなる。僕はまだ高校生だった。春。

finished reading Miriam Hansen's excellent essay about Benjamin.