虚栄心に疲れる

最近はちょっと気の重くなるようなことが多く、どうも集中できない。今日は、同じ大学院生たちの研究発表だったんだけど、あまりのひどさに気がめいった。ノーベル賞作家を取り上げたからといって「ノーベル賞」に何度も言及したり、研究者を引用するときに一々ハーバードの教授だとかそんなことを言うので、何となく聞き苦しいなあ、と思っていたら、後半では、いかに自分がファッショナブルな研究をしてポストを得たいかなんてことまで話し出して、これにはかなり参った。もちろん自分にだって虚栄心はあるけれども、こういうふうに公の場で口に出されると、結局その人は文学を研究していることも何もかも全て名前を売りたいだけなのではないか、という気がしてきてしまう。こういうような他者の薄っぺらさの発見ほど疲れるものはない。この間も別の分野の大学院生の女性と話しているときに、その人の生きがいは彼女の分野で有名になることだとか言い出し始めて、頼むから止めてくれと内心思いながら話を聞いていたら、家庭なんかいらないから有名になりたいとか言うので、その人が他の面ではとても魅力のある人だけに、もう、何て言うかがっくりであった。別に研究より家庭が大事だといって欲しいなどと家父長的な欲望を持っているわけではないのだけど、僕にとって他者の欲望ほどおぞましいものはまたとないので、そういうのは隠しておいて欲しいなあと思ったのだ。

こういうときはカントを読むか、バッハを聞くことにしている。