物語批判序説

という題のすばらしい本があるのだけれど、もはや忘れ去られて誰も口にしない。それどころか、この人の作品を読みもしないで批判するような人を最近ちらほら見かけるようになってしまった。だれかきちんとした人が、彼についての論をそろそろ書いて、再読へと導くべきではないか。想像するに、日本のアカデミズム内のくだらない政治のせいで、みな牽制しあっているのだ。70,80年代の歴史化というと、なぜすぐに大衆文化論やニューアカデミズムについての表層的な総括になってしまうのだろう。彼をただの映画に狂った人として片付けてしまうようなことがあってはならない。Kojin Karataniはすでにアメリカではスタンダードだが、彼の名前はこちらではまったく知られていない。翻訳不可能性の問題か。