戦後文学を問う

一作品2,3ページほどで戦後作品とそれらの提起する問題のハイライトを紹介してくれる便利な本。村上春樹の「眠り」の分析はそれなりに面白いし、日野啓三の「天窓のあるガレージ」という僕にとっての青春の書物(!)なんかも扱っていてうれしかった。第一章では、60年の日本文学代表団の訪中について書いてある。高橋和巳の評価はまた低い。もう僕らの世代で読んでいる人はまれだから、そのうち単に無視されてしまうようになるのではないか?別に擁護したいほど好きなわけではないけど。
 しかし何と言っても著者の本領である「在日」文学についての最終章がおもしろい。立原正秋、つかこうへい(「いつか公平」)など。