フセインの処刑に抗する

フセインが処刑された。ハーグの国際司法裁判所も通さずに早急に死刑が進められてしまったこと
に、深い失望を感じずにいられない。21世紀の残酷さとは、残酷さを隠蔽する残酷さだ。
独裁者の歴史化は彼が存命中から始まっていたのだから、人々がフセインを一方的な悪として
記憶し、叙述しはじめる日はもう遠くないだろう。ブッシュは、フセインの処刑を喜び、an important milestoneと言い放った。しかし、このように整理することは多くの出来事を忘却することに他ならない。
どんな人がどんなかたちで殺されたにしてもそれを喜ぶことは出来ない。

ヘンリー・ミラーが、正気において、あるいは正義の名の下に人を殺すことの悪について
書いていたことを思い出す。

何も手につかなくなって、家のまわりを散歩したり、部屋を片付けたり。
今日覚えた怒りは忘れないようにしようと思う。