谷川渥

ナルキッソスとエコー、鏡の国のアリスコクトーの映画、バシュラールダヴィンチ、などにおける視線と鏡の関係について思索した前半部、『魔の山』に現れるX線と、透明なものへの欲望が解剖学と結び付けられながら論じられる後半部、からなる鏡と皮膚をめぐる、徹底的な美学史検討を軸に、神話的次元の物語言説の作用を中心に考察している。この前半部と後半部を結ぶ地点に設けられた『ラス・メニーナス』の検討は、丁寧な読みで、フーコーの解釈に再考を促している。素晴らしい研究書

鏡と皮膚―芸術のミュトロギア (ちくま学芸文庫)

鏡と皮膚―芸術のミュトロギア (ちくま学芸文庫)

文学論も皮膚論で、それぞれの作家の作品のさまざまな皮膚描写の場面を取り出して検討している。

文学の皮膚―ホモ・エステティクス

文学の皮膚―ホモ・エステティクス