政治学ガール

政治学ガールと書くと何のことか分からないけど、政治学を専攻している女の子のことで、最近大学でたまに会うことがある。すごい勉強家で、雰囲気自体に勢いがあって、とにかく圧倒的なのだ。文学部の大学院は当然女性が多いのだけど、今まで一度もこの政治学ガールのような勢いを持つ人にお目にかかったことがない。日本でもアメリカでも文学部の女性は上品で朗らかであって、たまに鬱屈したような人もいるけど、とにかく彼女みたいなアグレッシブなタイプはいない。だから、政治学ガールに会うと自然にこちらのテンションも高まり、彼女のスピードについていくべく身構えるのだが、いったん、彼女が話し出すともうだめで、もうノアの洪水もかくありしか、というほどの言語量/秒であり、おまけに声量もすごくて、おそらく30メートルくらい離れていても会話を理解できるであろうような容赦のない音量でこちらに迫ってくる。また内容の点においても、真剣さと冗談のあいだをはげしく往復運動しながら話すので、こちらが冗談に気づくのに2秒くらいかかってしまうとそれはもう遅いのであって、「やべえ、俺遅れてる」とかそういう独り言を心の中でつぶやかさせられる。彼女にとって人と話す機会はすべて、政治という戦場におもむく前の訓練のようなものなのかもしれない。それと、我々は人と話すときにずーーっと相手の顔を見ているということはあまりないので、照れ隠しに何か無駄な行動を取ることが多い。僕などはその典型で、マクドナルドなどで誰かと話すと、かならず紙カップやストローをいじってしまうのだが、彼女はそういうことがまったくないので、これがまた感動的であって、自分の人生に対するゆらぎのない自信の深さが感じられるのだ。大学院で政治学をやる人でどれくらいのパーセンテージが政治家になるのかは知らないけど、彼女が政治家になったら間違いなく大きなプレゼンスが示せると思う。

ちょっと、田中真紀子は若いころあんな感じだったのかもしれない、と思う。政治学ガールはアメリカ人な訳だが。