今年を振り返って & 未来に向けて

留学4年目にして大きな節目に達した感があり、大きな一年だった。
途中で日本に帰って手術したりとかトラブルもあったけど、
12月にABDになることが出来、そこで大きなサークルを描いて、さまざまなことが
ひとつの決着を見たような気がする。
もちろん、これは出発点でもあり、これからようやく博士論文に入れるわけだ。
ここで一息つくつもりが、いつまでも文献調査がずるずると続いてしまうという人を
何人も見てきたので、ある程度で思い切りよく出発しなくてはいけない。結局
人文系の論文は書いてみるまで、自分が本当に何を書きたいのか100%分かっていないということが
ほとんどなのだから。分かってから書くのではなく、書くことによって見えてくることが多いのだ。

今年は論文ゼロ、発表ゼロだが、それは予想通り。
フランス語、ドイツ語はそれぞれ伸びた。特にフランス語は
前期にセミナーでネイティブに混じって議論したことが
大きな刺激になった。もちろん、僕のフランス語力では
たいしたことは話せないわけだけど、しかし少なくとも、
フランス語で話す勇気を持つことが出来るようになったわけで、
これは大きい。最後の授業はカフェでやったんだけど、
光が降り注いでくる高い天井のある部屋で自分のフランス語が
響いた感じは、なぜか記憶に強く残っている。あそこで何か
つかんだような気がする。

英語力についても、書くときにほとんど困難を感じることがなくなった。
プレリムで2時間とか4時間とか、時間を決められて論述をする
のは、ちょっと英語で困るんじゃないかと思ったけど、
そんなことはなかった。面接も立て板に水とまではいかないまでも、
内容について質疑応答しているだけで英語のことは気にならなかった。
ただティーチングは、ちょっと慣れすぎの感があるから、気を引き締めないと。

来年は春先に論文が二本出るので、それにあと一本書ければ十分。
発表も1つ決まっている。これも後1つくらいで十分か。
それよりも博士論文に集中したい。そして早く卒業して大学で英語や文学を教えたい。
やはり自分は一日中部屋に閉じこもって文献読んでいるよりも、教壇に立っているほうがいい。
まあ、たまには閉じこもりたいけども。
しかし、考えてみれば、自分が書く変な論文の読者なんかより、
自分が教える学生の数のほうがよっぽど多いはずなのだ。

P.S. と書くと、なんかあまり勉強したくないみたいだけど、そうじゃない。もっともっと研究したいし、テーマは無限に広がっていく。芸術は長し、人生は短し。最近はベンヤミン論のために二次文献を漁っていて、Miriam Hansenの天才に痺れている。