サッド・バケイション

うむ、冬休みも終わろうとしてしまっている。
結構だらだらすごしていて、日本映画たくさん見ちゃいました。
なかでも青山真治の『サッド・バケイション』は、格の違いを感じた。
のだけど、中上健次の影響が強すぎて、ちょっとずるいなあとも思った。
主人公の名前、ケンジだし。それはともかく、実の息子を殺されても
ぜんぜん動揺しない母親というのは、中上の浜村龍造なしにはありえない。
この作品が、『枯木灘』に対応しているから、次も絶対あるはず。
しかし、そういう中上コンプレックスを差し引いても、あまりある素晴らしさで、
特に浅野さんの静と動を併せ持ったような演技が光っている。

特に好きだったのは、

1、最初のほう、トラックが倉庫に到着する直前のショットから、タイトルが現れるまでのシークエンス。
トラックの到着も、違法入国した人たちがさっといなくなる感じもいい。
2、浅野さんが、地下の駐車場で、後に愛人関係となる女性をエレベーターに送っていくシーン。
3、宮崎あおいが夜の事務所で、自分の生い立ちについて浅野さんに話すシーン。遠くからの蛍光灯の光がすばらしい。また、二人の立ち居振る舞いとか間合いもすばらしい。全体として、この作品は1対1で人が話しているシーンが結構多くて、緊迫感が高かった。この夜の事務所のシーンに比べると、切り替えしショットを多用した「母」対浅野さんの対話シーンはちょっと落ちる。
4、浅野さんが、「息子」ともみ合いになるシークエンス